まな板に寝かせられている私を想像する
きっと私の涙は美味しくない
だから泣かない

黒潮市場のマグロは解体ショーにて解体される
私はそうならなかった
ただあっさりと包丁を体に入れられる

血はあまり出ないだろう
体が硬直しきっているから
料理人は顔をしかめる

そうして三枚おろしにされた私は
一口サイズに切られて皿に盛られる
決して女体盛りではない

私の頭部が食べられる直前
髪の毛をセットしていないことに気がついた
私は料理人を恨んで少しだけ、泣いた