また行く。
今日は風が速いから、
飛ぶように雲が飛ぶ。

わたしときたら、
口を情けなく開けたままで、
首の疲れも忘れて。

    噫ーーーーーーーーーーーーーーー

などと発語する。

あの雲に乗った少女は、
今も坐れないままなのだろうか、なんて
遠くの町で信号が変わる音がしたので、
わたしは飽和した口を閉める。

どこまでも行ったその先で、
吉野弘が怒っていたので、
わたしは雲になりたかった。